悪化する自転車マナー

自転車のマナーが悪いという話をよく聞きます。自転車は手軽で小さな子どもでも乗れる乗り物ですが、利用者のマナーが悪いと、他の歩行者やドライバーに大きな迷惑をかけてしまいます。今回は、なぜ自転車マナーが悪化しているのか、その原因と背景を探ってみましょう。
自転車マナーの悪化がもたらす問題
自転車のマナーが悪くなると、交通事故の増加や他の歩行者や車両への迷惑が発生します。特に自転車と歩行者の接触事故や、車道での自転車の逆走などが問題です。交通の円滑な流れが妨げられ、事故が起きやすくなっています。私たち一人ひとりが、ルールやモラルを守ることで、自転車による問題を解消できるはずです。
ルールのアップデート不足と周知の遅れ
まず最初に挙げられるのは、交通ルールのアップデート不足とその周知の遅れです。
自転車に関するルールは時代とともに変わっていますが、その情報が十分に広まっていないことが問題といえるでしょう。中でも中高年層は、昔のルールをそのまま信じていることが多く、新しいルールに対応できていないことが多いです。自転車は歩道を走るべきだと考えている人もまだ多くいます。
一方で若年層も同様でルールが浸透しているとはいえません。スマホを見ながら運転をする、友達同士で並進するなど重大な事故につながる運転をする人はまだまだ多く見かけます。
自己中心的な運転行動
歩道を猛スピードで走ったり、車道を逆走したりする自転車が多く見られます。これは、自分さえ良ければという考えから来るものであり、歩行者や車両の安全やルールを無視しています。特に中高年層に多いと言われていますが、若年層でもこのような運転をする人が少なくありません。
また、歩道を走行する際、歩行者にベルを鳴らして道を譲らせることも問題です。ベルは「危険を防止するためにやむを得ない場合」「警音器を鳴らせという道路標識のある場所」以外、鳴らしてはいけません。
これは歩行者に対する配慮が欠けているといえます。このようなシチュエーションの場合、自転車は歩行者の通過を待つか、自転車を降りて押し歩きするといった対応をすべきです。
取り締まりの不徹底
自転車に対する取り締まりが不十分であることも、マナーの悪化の一因といえるでしょう。自転車の違反に対して2022年10月から赤切符が適用となりましたが、実際にはそれが徹底されていないことが多いです。スマホを見ながら運転する「ながら運転」や、逆走などは厳しく罰せられるべきですが、実際には注意のみで見過ごされることが多いのが現状です。
そのため、2024年5月17日、警察庁は自転車の違反行為に対する青切符制度を導入することを発表しました。自転車利用者が信号無視や一時停止無視、スマホを見ながらの運転などの交通違反を犯した場合、青切符が発行され罰金が科されることになります。罰則の強化により、自転車の安全利用を促進し交通事故の減少を目指しています。
自転車によるマナー違反について
自転車の利用者が増える一方で、そのマナーが悪化している現状があります。無視されがちな交通ルールや自己中心的な運転が増え、歩行者や他の車両とのトラブルが絶えません。接触事故も増加しており、深刻な問題となっています。
歩道での高速走行とそのリスク
自転車が歩道を高速で走行することは、歩行者にとって非常に危険です。歩行者は突然の自転車から避けられず、事故につながる可能性があります。もしも歩道上で自転車と歩行者の事故が発生した場合、基本的に自転車側が100%の責任を負います。これは、自転車が歩道を走ること自体が例外的であり、歩行者の安全が最優先されるためです。したがって、歩道を走行する際には、歩行者に十分に注意を払う必要があります。
また、高速走行は自転車自身の安全も脅かすので歩道を走る場合、スピードを出さないようにしましょう。
一時停止無視の実態
自転車も道路交通法の対象であり、一時不停止違反に問われます。一時停止違反により検挙されると3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。また、2015年の道路交通法改正により、自転車の一時停止違反が繰り返されると「自転車運転者講習」を受けることが義務付けられました。この講習を受けなければ、さらに罰金が科されます。
一時停止は、自転車利用者にとっても重要なルールです。交差点や踏切での安全確認ができ、事故を未然に防げます。自転車は体がむき出しのため、事故が起こると怪我を負うのは自分自身です。一時停止をしっかり守りましょう。
自転車の信号無視
ある日、自転車に乗った高校生が車道の信号が赤にもかかわらず進行し、警察に呼び止められました。
それは自転車も道路交通法上「軽車両」に分類されるため、車道の信号に従う必要があるためです。車道の信号が赤のとき、自転車も停止位置で停止しなければなりません。歩行者信号が青でも、車道の信号が赤ならば進んではいけないのです。
無視して進むと、対向車や交差する車両と接触するリスクが非常に高くなります。自転車が歩行者信号の青を過信して進むことも同様に危険です。自転車運転中は車道の信号を確認するようにしましょう。
ながら運転のリスク
スマホを操作しながら自転車を運転することは、非常に危険です。視線がスマホに向けられることで、周囲の状況を把握する能力が低下し、交通事故のリスクが高まります。特に、交差点や歩行者の多い場所では、スマホを見ながらの運転は重大な事故を引き起こす可能性があります。
そのため、警察庁はスマホを操作しながらの自転車運転が増加していることを受けて、法律を改正しました。この改正により、スマホを操作しながらの運転が危険行為として明確に規定され、取り締まりの対象となります。ながら運転は絶対にやめましょう。
傘差し運転の危険性
雨の日の運転は、視界が悪くなり、ブレーキの効きも悪くなります。そんな中、傘を差しながらの運転は非常に危険です。ブレーキ操作やハンドル操作が不安定になり、事故を引き起こしやすくなります。
東京都が行った調査によると、雨の日に自転車に乗ったことがある人のうち、約38.5%が「ヒヤリ・ハット」や危害の経験。これは、傘差し運転による事故のリスクが高いことを示しています。
都道府県条例や道路交通法第71条では、自転車の傘差し運転は禁止されており、違反すると5万円以下の罰金が科されます。雨の日はできるだけ自転車の利用を控え、公共交通機関を利用するようにしてください。
自転車も無灯火運転は違法
夜間に無灯火で走る自転車をよく見かけます。無灯火運転は見えているから大丈夫ではありません。歩行者や他の自転車から見えにくくなり、衝突の危険性が増す危険な行為です。
道路交通法第52条1項で定められており、夜間に自転車を運転する際には前照灯や尾灯を点灯しなければなりません。
夜間の運転時には必ずライトを点灯し、他の交通参加者に自分の存在を知らせるようにしましょう。前照灯だけでなく、後方のライトや反射器材の使用も推奨されています。自分の存在を知らせることで、事故を防ぎ、安心して自転車を利用できます。
自転車の右側通行は逆走扱い
道路交通法では、自転車は車道の左側を走ることが義務付けられています。これは、車道を走行する車両全体の流れに従うことで、安全を確保するためです。自転車が右側通行をすると、対向車両との距離が近くなり、正面衝突の危険が高まるため、大変危険です。
2013年に施行された道路交通法の改正により、自転車の右側通行が明確に禁止されました。この改正では、右側通行をした場合、懲役3ヵ月以下または5万円以下の罰金が科せられることになっています。
安全に自転車を利用するためには、車道では必ず左側通行を守りましょう。
守られていない自転車の右折
自転車が車の右折レーンに入って右折するケースが見られますが、実は交通違反です。
自転車が右折する際には「二段階右折」を行う必要があります。これは、交差点を直進し、対向する歩道に渡ってから、再度直進して右折する方法です。十字路やT字路など、すべての交差点で適用されます。
そのため、自転車は右折レーンや車道の中央を走ることはできません。必ず左側端を通行し、二段階右折を行うようにしましょう。
危険な違反行為を繰り返した場合の罰則について
上記に挙げた自転車の違反行為を行った場合、道路交通法に基づき罰金や懲役が科されます。
そして、特に危険な行為を繰り返した場合、自転車運転者講習の受講が義務付けられるので注意しましょう。この講習では安全な運転方法や交通ルールを学びます。
交通ルールを守ることは、自転車運転者自身の安全を守るだけでなく、他の交通参加者の安全も守ることにつながります。違反行為を繰り返さないように心がけ、安全運転を実践しましょう。
自転車の死亡事故の発生状況について
日本では、自転車事故による死亡者数は2021~2023年の間300人前後で推移。交通事故全体での死亡者数は年間約3,000人なので、自転車事故は全体の約1割を占めています。
自転車事故の原因は、安全運転義務違反(37%)によるものが最も多く、違反なし(24%)、その他の違反(16%)と続きます。
割合を見ると安定運転義務違反による事故が多いとともに、自転車側が交通ルールを守っていても、事故に巻き込まれて死亡してしまうことが多いのが現状です。
だからこそ、まずは基本的な交通ルールを守ってください。日常の自転車利用においても、常に安全第一を心がけましょう。
自転車マナーの改善には、社会全体での取り組みが必要です。まず、交通ルールの周知徹底が不可欠といえます。学校や地域コミュニティでの教育キャンペーンを通じて、正しいルールを広めることが重要です。
私たち一人ひとりが、自転車を楽しく安全に利用するために、ルールを守りお互いに配慮することを心がけましょう。